認識の違い

中学生のある生徒にこんなことを聞いてみました。

 

「英語の教科書をスラスラと読めて、訳も完璧にできるようになる為には、何回くらい音読する必要があると思う?」

 

私の用意していた答えは、『30回』でした。その子はしばらく考えた後、こう答えました。

 

「5回。」

 

また、高校生のある生徒にこんなことを聞いてみました。

 

「G-MARCHくらいならまあ受かると思っているでしょ?」

 

生徒は、「ハイ。」と答えました。

 

『G-MARCH』とは、学習院、明治、青山、立教、中央、法政大学のことです。関東圏の受験業界の中では、早稲田、慶應、上智に次ぐ私立の上位総合大学です。その子の高校は生徒数が1学年で340人ほどで、毎年G-MARCHの合格者数(現役)が、80人弱です。私立大学の出願は一人がいくつも出すので、これは『延べ人数』です。おそらく実際に受かっている人数は20人程度ではないかと思います。あとで聞きましたが、その生徒の学校は去年、法政大学への出願数は180人程で、合格者数は30人程だったそうです。校内では6倍程度の倍率ですね。ですから、延べ人数で80人くらいの合格数ならば、校内で上位20番くらいに入っていないと合格は難しいと考えておいたほうがいいと思います。その生徒は今回の中間テストの順位、まだ結果が出揃ったわけではないのですが、おそらく真ん中くらいです。

 

つまり、私の用意しておいた答えは、「そんな甘いもんじゃねぇ。受験なめんな。」です。

 

これが、私と生徒たちとの勉強への認識の違いです。

 

生徒の指導で、暗唱テストを行うのですが、その際、「何回も唱えて完璧になったらテストするよ。」と伝えます。そして、生徒がどのくらい唱えてからテストを申し込んでくるかを見ているのですが、だいたい5,6回の場合が多いです。初めて受ける子は2回くらい、なかにはボケっと眺めるだけで暗唱せず、すぐにテストを受けようとする子もいます。私のテストはつっかえたり言い間違えたりしたら失敗、3秒止まったら失敗で始めからやりなおし。3回失敗したら不合格です。だからだいたいみんな1発合格はなりません。受験生であったり、特別な危機感を持っている子だけが1発合格できる(場合もある)といった感じです。

 

私が中学生の時に通っていた塾の英語の先生は、英語の暗唱文を暗記させるときに、1回失敗したらやりなおし、2回目で片側ビンタ、3回失敗すると廊下に連れていかれて往復ビンタでした。今の子たちとは危機感が違いますよね(笑)。私はビンタはさすがにできませんが、それでも「そんな甘いもんじゃねぇ」ということはしっかりと伝えていきたいと思っています。まだまだぬるま湯に浸っているということを認識した人から、上へと上がっていけるはずですから。