まずは1冊!

薄い問題集を1冊最後まで解く。

 

3月になって、生徒から勉強の相談を受けることが増えてきました。いい傾向ですね(^^♪ そんなわけで、生徒が自主的に勉強を始めるときにはこれを伝えています。国語が苦手ならまずは読解問題集で薄いものを1冊。社会が苦手なら用語を覚えられる薄い問題集を1冊。古文が苦手ならば…、とにかく何でも1冊やり切ることが大切です。

 

ちょっと不思議な話に聞こえますが、いろいろな問題集を食い散らかしている人よりも、何かを1冊やり遂げた人の方が成績が上がります。たとえ同じ演習量をやっていても、です。

 

これはその問題集を作っている教材会社の力なのだと思いますが、問題集を作るときにその問題集が持つテーマを「完結」できるように作るからなのではないかなと思っています。教材会社も他の問題集を並行してやることを想定しているわけではないでしょうし(同じ会社のコレとコレを使って…のような誘導は見かけますが)、コンセプトはいろいろあるにせよ、1冊で完結した力を身に付けるようにできています。ですから1冊「コレ!」と決めたものを最後までやり切ると、その問題集の栄養分が体系立てて頭に吸収され、総合栄養食として機能します。いろいろな問題集を中途半端にやり散らかしている人はなかなかそうはいきません。どの部分が大切なのか、それを頭の中で全てつなげて整理できるならば別でしょうが、やはり1冊の問題集に書かれていることを順番にこなしていくほうが効率的です。

 

薄い問題集を始めに使うのは、やり切るのに負担が少ないことと、やり切ったことで自信を高める効果があるからです。1冊終われば「よし!次!」となりやすいですし、どこかで壁にぶつかったときに戻ってくるにしても復習しやすいです。確かに薄い問題集は網羅している幅は狭いかも知れませんが、それを核にして他の問題集で知識を増やしていけば問題ありません。1冊で受験勉強を完結できるような問題集もありますが、たいていは分厚過ぎてやり切るのは難しいです。雪の結晶が空気中の埃を核にしてあの美しい幾何学模様を作り出すように、核はちょっとしたものでも、そこから枝葉を広げればいいのだと思います。

 

そして大切なのは、勉強が進みたくさんの問題集をやるうちに、どの問題集も「似たようなもの」に見えて来ること。問題がどうのこうのではなく、問題の解き方が大切なんだと分かることです。いろいろな問題集を横断して見ると、載っている問題にさほど違いはありません。そのことに気付けることも学習です。ですからそれらのエッセンスの大切なところだけを抽出してできた「薄さ」は栄養分の上澄みです。それを最初に核として身に付けるのは合理的です。

 

たまに「あの問題集が~」とか「これよりもこっちのほうが~」とか言っている人を見かけますが、それは本当の勉強ができていないことへの言い訳です。たいした量を知っているわけでもないのに評論家ぶっている人は「知っているぞマウント」を取りたいだけの人なので、もくせい塾の生徒たちは「ふーん」くらいに受け流して、薄い問題集を進めていきましょう。