高い基準に慣れる

大学受験が終わった生徒に「車の免許は取るの?」と聞いたら、「まだ考えていない」と言っていました。私が高校生の頃は、多くの友人たちが受験が終わったらバイトを始め、大学に入る前の春休みに自動車の免許合宿に行っていたようが気がします。若い人の自動車離れは確かに広がっているのを感じました。

 

私の思い出話になりますが、私は社会人になってから免許を取ったので、仕事が忙しいと言い訳をして免許を取るのに2年くらいかかっています。だから教習所の会員期限が切れて、再入所で入所料金を2回払っています(笑)。運転実技の教習で所内のコースを回るのですが、S字カーブや坂道発進などをやったなぁなんて思い出しました。中でも最も印象に残っているのが、「スピードを出す」練習です。直線を走る時に教官から「30キロ出してみましょう!」と言われるのですが、これが怖い。今では30キロはなんでもないのですが、ハンドルを握りたての当時はとても速く感じ、自分のコントロールしきれない速度に感じたものです。でもあれがあったおかげで、今公道を走れるんだなとよく分かります。

 

さて、勉強でも同じことが言えるのではないでしょうか。速さでも量でも、自分の能力を上げるにはその速さ・量に「慣れる」ことが大切です。学力上位の子たちは、他の子たちが見たら信じられないほどの学習量をものすごい速さでやっています。でも本人たちには「当たり前」のことなんです。それどころか「自分はすごい量をやってる」という意識すらないです。よく、勉強ができた人が塾講師になって失敗することがらに「なんでこんなこともできないの?」と生徒に言ってしまうというのがあります。これ自体は生徒のやる気を削ぐ言葉なので良くないのですが、先生の側からすると「あるある」のひとつなんですね。なぜなら勉強のできた人からすると、自分の「当たり前」の基準がとても高く、しかしそれを本人が自覚できていないからです。これくらいできて当たり前でしょというのが生徒からするととても高いところにある。だから新米の先生は思わず「なんでこんなこともできないの?」となってしまうわけです。

 

話を戻しますと、生徒も一生懸命必死になってやっているつもりでも、効果が出ていないのならば、外から見ると「時速30キロ未満」の場合が多いです。だからそこを分かってもらうことが学力向上の第一歩になります。もくせい塾では夏期講習期間に受験生たちには250時間の勉強をやってもらってきました。これを聞くと驚かれる保護者の方も多いですが、塾講師をやっている者から見ると「当たり前」の量なんです。(世の中にはもっと長時間行っている塾もあります)その量をこなせる勉強体力を今のうちに身に付け、夏に爆発してもらう。そうすることで、夏前と夏以降の塾内の平均偏差値を5ポイントアップを目指しています。

 

今年は自習に「当たり前」に来ることができる生徒が増えてきました。更に基準を高め勉強の量とスピードで「時速100キロ」を体感してもらえるように頑張っていきます!学習に道路交通法違反はありませんからね。