勉強は、始めたときにまず打ちのめされる。

どんなことでも、まずやってみないと分からないことは多いです。例えばギターなども、自分で触ってみて初めてその難しさを感じ、プロの演奏家のすごさやそこにかけてきた時間の重みが少し分かったりします。

 

勉強も同じで、「GMARCHくらいなら半年くらい本気で勉強すれば行ける」とか、「越谷南高校くらいなら今から頑張れば行けるんじゃないか」なんて言葉が夏前くらいによく聞かれますが、それが出るのはたいてい勉強を始めていない生徒の口からです(^_^;)

 

実際に始めてみると、「1曲弾くのって難しい」と分かります。それどころか、Fコードを押さえることすら挫折して投げ出してしまう子も結構いいたりして。勉強でもそれまで何もやっておらず、実力も足りていないのに後からレースに参加してもなかなか合格ラインの先頭集団に入れるわけがありません。特別な才能があって、その才能を生かせる分野でならあるいは違うのかも知れませんが、こと勉強においては地道な積み上げが全てです。学力の高い生徒はそれだけのことをやってきている。ただそれはなかなか外からは見えません。1年生2年生の頃に受験を意識して勉強している子を、そうでない子が見てもきっと自分と同じに見えると思います。プロの演奏を見て、「あのバンド、ベースが下手なんだよなぁ~。」なんて言っているリスナーと同じです。外からは何も見えない。

 

 

だから受験勉強をするときって、「挫折」から入る人のほうが多いのではないでしょうか。「やばい…全然できない。」と。受験生になると痛みを感じます。自分ができないことを否応なく突き付けられる痛みです。そこで一度謙虚になって、今の自分の実力と志望校合格までの差を見つめる。プライドを捨てて自分より先に進んでいる同級生に敬意を払う。他の子がバンドを組んで音を合わせているのを横目に、コードを何度も押さえ指先の痛みをこらえることが必要です。その痛みをこらえ指先が固くなってから、初めてFコードはキレイに鳴るようになります。

 

塾に毎日来て勉強している生徒たちを見ていると、受験生の期間とはそういう通過儀礼のようなものであると感じます。