学習性無気力の話➀

生徒指導で大切にしていること。

勉強を諦めてしまった子


学習性無気力という言葉がある。1960年代に発表された心理学理論で、逃れられないストレスを受け続けると、そのストレスを逃れる行動をとることをやめてしまうという現象だ。犬を使った動物実験で、スイッチで止められる電流を流した犬と、自分では止められない電流を流した犬では、後者のほうは逃れることを諦め、何をしても抵抗しなくなってしまったそうだ。

 

なんともむごい実験だけれど、これは学習の現場でもよく見られる現象である。テストで点数が取れないことが続くと、やがて子供は諦めることを学んでしまう。「どうせやっても無駄」と勉強をしなくなり、やがては話を聞くことすら諦めてしまう。

 

「授業態度が悪い」というのは、この学習性無気力の症状だと思う。話を聞かない、授業と関係のないことをしている、寝てしまう等々、これらは今行っている勉強が分からない子の、切実なアピールだ。もちろん話を聞かないから分からないわけだし、他の生徒や一生懸命授業をしている先生の邪魔をしているという意味では、その子の態度は「悪い」。

 

しかし、これを「分からない、助けて」というその子からのアピールだと捉えると、なんとも痛ましい。特に集団授業では「分かりません。もう一度説明してください」と、授業を止めるのは勇気のいることだ。それができないから態度で示す。そんな状態なのではないだろうか。