自分で自分を伸ばせない生徒

自走できるまでは牽引する必要がある。

はじめは誰もがみんなそうだった


公立中学校の定期テストで、平均点を20点以上下回る、もしくは順位が全体の下から5分くらいの生徒から、「1人で」勉強することが難しい子が増えてくる。

 

1人で勉強するとは「できないところをできるようにする作業」のことだ。読んで、書いて、覚えて、解く。それを1周し、2周目にはわずかでも能力の向上が見られる。これができない。ザルで水をすくうように、やってもやっても伸びが見られない。これより成績が上の生徒は、「やっていないだけ」の場合が多いが、そうではなく「やろうとしてもできない」という感じだ。

 

ところで、私はバスケットボールのレイアップシュートができない。足のステップと手の動きが連動しない。トラベリングシュートになってしまう。また水泳の平泳ぎもできない。ゴジラの登場シーンのごとく、お尻が水面に顔を出したり引っ込めたりして前に進まない。また音痴が深刻で歌が歌えない。おそらく自分の脳がそれらを習得するまでの経験が足りていなかったと思われる。決してずっとできないわけではなく、練習すればできるようになる。と思っている。たぶん。

 

それと同じで、自分で自分の学力を伸ばすことができてない生徒は、それができるまでの経験値が足りていないのだと思う。できるようにするには、経験させることだ。はじめは補助を付けてやり、少しずつ手を離していく。自転車の練習のように自走できるまで誰かが付き合ってあげる必要がある。他の子が小学校以前に経験したことを追体験させていく必要がある。大事なのは「手を離す」こと。そうしないと、いつまでたってもできるようにならない。

 

中学生や高校生にも、まだ自走できない子は意外と多くいる気がしている。