賞味期限は切らすな

質問は「新鮮な」うちに。

「もう遅い」もある


質問には期限がある。「質問したことを消化しモノにできる時間が残っている間」までだ。

 

テスト前に質問はよく出てくる。生徒も必死だ。しかし「時すでに遅し」な場合もある。特に、難解で時間がかかるような問題の質問期限は鯖なみに「足がはやい」。

 

明日テストなのに、「『これが出る』って言われたので教えてください」と持ってくる問題は鬼門だ。その子がこのあと明日までの数時間で身に付けるのは「ちょっと難しいかな」と思う問題を出してくることが多い。「これが出るよ」と言われた問題は、言われた段階で解けるようになっていないと「もう遅い」。

 

そういう時は状況を考えて、「それは今からじゃ間に合わないから」と断ることもある。その問題に執心するよりもやってきたことをもう一度おさらいしたほうが絶対に点数が伸びる。自分でまだその判断ができない子は、このように「やむを得ず」こちらで判断してしまうこともある。

 

しかしあえて教えてしまうこともある。絶対に今からじゃ消化しきれないし、この問題を追いかけている時間が「無駄」であっても教える。(トータルで見ると、質問することに無意味は無いと思うけれど)それは、教えた問題を生徒ができるようになるかも知れないという希望的観測も含まれているが、それで失敗することも学びだと思っているからだ。正直「もう間に合わないよ」とは思うけれど、そこで追いかけ過ぎて他の問題で足を掬われたりして痛い目を見るのも経験だ。

 

「もう間に合わない」ということをリアルに体験すると、次は間に合うように動けるようになる。朝、何時まで寝ていて大丈夫か。それは寝坊で遅刻をすると分かる。夏休みの宿題をいつから始めるべきか。それは最終日に徹夜で泣きながらやるはめになると分かる。「ホントに痛い目見たなー」という経験はためになる。だから私は期限切れの質問にも対応してしまうことが多い。「次はもっと早く来てね」と思いながら。