匠の目

知ってるって楽しい。

判断できるだけの知識を


勉強をすると「モノの見え方」が変わる。

 

知っていることが増えると、そのものの見え方が多角的になる。若い女性に見えていた絵から老婆が浮き上がってきたり、食器を並べた絵から向き合う2人の姿が見えてくる。

 

プロレス通の人に「プロレスは『匠の目』を持つと面白い」という話を聞いた。初めて見ると「A選手が勝った」という見え方しかしていなかったが、実はその時に戦った相手は、以前A選手の仲間を下した「因縁の相手」で、その時に勝った技が「仲間が負けた時にかけられた技」だった。そういうことを知っているとプロレス鑑賞がより面白くなるということでそれが「匠の目」だそうだ。何かを楽しいと思えるには、それに対してある程度の知識が必要だと学んだ。「サッカーは得点シーンよりも点が動いていない時のほうが面白いんだよ」なんて言うサッカーファンも多い。映画を見る時に主演の演技の後ろで動き回っているエキストラの演技を面白がって見ている人だっている。知っていることで見える景色を楽しんでいるのだろう。

 

勉強して知識が増えると物事を別の側面から見られるようになる。そうすると、バランスのとれた判断もできるようになる。2者が争いをしいているときに、どちらが悪いと決めつけるのではなく、それぞれの背景を踏まえて判断することができるようになる。知識があれば、人の意見に簡単に流されて危険な行動に走ってしまうことにも自制がきく。そういう意味でも勉強は必要だ。

 

匠の目を育てれば、三角形のものも丸く見えるようになっていく。「これって三角っぽいけど丸くもないかな」。その視点の豊かさが、楽しく暮らすことのヒントになると思う。