花見の季節

まだまだ寒い日が続くけれど。

花見


ここ数日雨が続いていたが、今日は晴れ間も見えた。ちょうど桜の時期なので気になっていたが、今日は少し桜並木の下を走りながら、雨粒で光る桜を眺めながら教室に来ることができた。もう春だ。

 

普段から花は見るが、花見はもうずっとやっていない。コロナもあったからね。新卒で社会人になったとき、一番初めに上司からされた指示は「花見の準備をすること」だった。

 

会社近くの桜の木がたくさんある公園で「場所取り」と「宴会の買い出し」。これを新入社員で分担して行った。場所取りは、ビニールシートを敷くだけだとどけられてしまうとかで、そのシートの「お守り」もすることになった。時間を決めて交代でシートの上に座ってただみんなを待つ。春とは言え、夕方からはまだ冷え込む。寒さを耐えているうちに買い出しの品がどんどん集まり、やがてすっかり日も暮れた頃に花見はスタートした。

 

花見自体のことはあまり覚えていないが、その「レジャーシートの上で見張り」のことはまだ覚えている。新入社員はそういうお遣いをするものだというのをそこで知った。それまでの学生生活では、縦の関係の中にいることは無かったので新鮮で悪い気はしなかった。夜、仕事を早目に切り上げて他の先輩上司がやってくるまで、公園のレジャーシートの上で寒さに耐えながら何時間も待っている自分が、冬の間に蕾を膨らませ開花を待つ桜の花のようだと感じた。

 

結局その会社で自分が花開くことは無かったけれども、花見は今までの自分をリセットし、新しい世界に入る儀式のようだと思った。新年度が始まる。