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必死な環境で身に付いたことは
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「近いから」という理由でなんとなく応募して採用された個人塾で、塾講師生活がスタートした。
その塾の指導は、個別に仕切られた座席に座っている生徒ひとりひとりに、講師が移動しながら指導して回る。
80分の授業で、生徒は多い時で7人いた。授業内に必ず3周生徒を指導して回らねばならず、したがって持ち時間は「一人1分」と決められていた。それをこなせないと結構な勢いで叱責を受けるので必死だった。
生徒の隣に行き、説明しながらノートを書いて渡し、次の生徒へ。生徒の質問を受けたり、ましてや雑談する余裕なんて無かった。工場の流れ作業のように生徒たちは指導して回る。中学生の時に憧れた、少し「はみ出し感」のある大人としての塾講師像からは程遠かった。しかし説明はどんどんシンプルになっていった。