過去問との向き合い方

ずいぶん寒さを感じるようになりました。もうすっかり冬なんですねえ。そろそろ入試の過去問に取り掛かり始める時期ですが、この時期の勉強方法でひとつだけ気を付けておきたいことがあります。


過去問"だけ"を進めないこと

まだ偏差値が志望校に届いていない生徒はもちろんのこと、偏差値や内申が届いている生徒であっても、過去問だけをただ進めていく勉強計画は少し危険です。それはなぜか、理由を以下にまとめてみます。


①基礎学習がおろそかになる
志望校の合格圏に入っている生徒に今一番大事なことは、合格圏にいるための学力を保つことです。そのためには、今の学力を下げないようにすることが大切です。人間は忘れる生き物ですから、頭の中の知識も定期的にメンテナンスしないとだんだんと抜けていきます。これからの時期であっても、このメンテナンスの時間を減らしてしまっては、だんだんと合格圏から漏れるほうに向かってしまいます。

②勉強をやった気になってしまう
過去問というのは、その学校で過去に出題された問題であり、いわば「最も本番に近い教材」です。ですからそれを解くだけでかなりの満足感が出てしまいます。さらに丸付けして点数まで出せてしまうので、「やった、合格点に届いた!」となってしまったら、間違えた問題は「できなくてもいいや」としてしまう子もいるかも知れません。これではせっかく過去問を解いてももったいないです。


③今からだと、結構早く解き終わってしまう

市販されている公立高校入試のものだと過去6年分程度、私立高校のものだと過去3年分程度の分量の過去問集。2日で1年分を解いたとしても公立なら12日間。私立なら6日間で1周が終わります。休日をはさめばもっと早くなりますし、過去問だけ進めようとしたら、さらに早く進めることができます。過去問はある意味劇薬のようなもので、上で書いたように解いて合格点に達すれば、「よっしゃー!」とテンションを上げるキッカケになるのですから、できれば入試が近くなってからその状態にしたいですよね。早い段階で全て解き切ってしまうと、入試までの期間が少し「間延び」したような状態になってしまい、モチベーションの維持が難しくなる場合もあります。


以上に挙げたように、この時期の勉強として過去問のみの学習というのはいくつかのリスクがあると思います。では、どうするのがいいのか。そこで私がおススメするのは、「基礎問題集と過去問を行ったり来たりするような勉強」です。まず過去問を解いてみて、そこで間違えた範囲を基礎問題集に戻って復習するのです。基礎問題集は今まで解いてきたものを使い、今までに得た知識を思い出すように勉強します。そうすれば、基礎知識のメンテも行え、基礎問題集と入試問題を行ったり来たりすることによって、その間の思考のパイプを太くすることができれば、入試問題にも対応できるようになります。過去問を解いて丸付けをする日を1日取ったら、翌日はその復習に全部充てるくらいでいいと思います。「急がば回れ」。過去問をやりたいと逸る気持ちもあるとは思いますが、地に足を着けて。勉強で寄り道した全てが合格を確実なものにしてくれるはずです。