ちゃんとやる

学力とは、作業の速さや記憶量、再現力などいくつかの力の集まったものだと考えています。そして学力の高い子は、それらの力が全体的に高い傾向にあり、低い子はその反対の傾向にある場合が多いです。計算がめっぽう速くて強いのに学力がすごく低いという子はあまり見たことがありません。

 

これは、学校でみんな同じ授業を受けているからだと思います。義務教育の方針のひとつは「バランス良く」です。ですから、その受け取り方に差があるだけで、総合力に対するそれぞれの力は、レーダーチャートで言う綺麗な多角形の形のような、バランスの取れたものになりやすいのだと思います。(もし小学生くらいから算数ばかりやったり理科ばかりやったりすれば、きっとものすごく個性的な能力の持ち主になるのかも知れませんね。)

 

しかし中学生くらいになって、学力に対して記憶量が極端に少ないといった、バランスの悪い子をたまに見かけます。なんでそれだけが伸びていないのだろうと不思議に思っていました。

 

昨日、その理由の一端を見たような気がします。ある生徒の板書ノートを見た時、板書の赤字も青字も全て一色で写していました。理由を聞くと、「色ペンを忘れてしまったから。」と言うことでした。赤ペン、青ペンで色分けしたのには理由があるのですが、それを自己判断で同じ色にしてしまった。その理由が、持ち物を「忘れ」たからだというあたり。伝達された情報を、自分の都合で取捨選択してしまっているのが見て取れます。この「まあいいや」から生まれた綻びが、生徒のその能力向上だけを大きく妨げているのではないか、そう思いました。

 

結論を言うと、勉強で必要なのは「ちゃんとやる」ことだ、となってしまうのですが、それができていない場合のダメージは想像よりもずっと大きいと思います。少し厳しいですが、この子にはノートの写し直しをさせました。もくせい塾の中学数学は小テストを受ける際、板書のチェックも行っています。生徒の学力向上に通じる問題点を、塾のシステムで対処できた例です。