読書感想文「禅、シンプル生活のすすめ(枡野俊明著)」

「禅、シンプル生活のすすめ(枡野俊明著)」を読んだ。

試してみたくなる1冊


前から「禅」というものに興味があった。有名な経営者なども禅に興味を持っている人が多いし、これを知れば自分の魂のステージを1つ上げられるかも知れないと思ったのだ。まあ、こんなこと考えている段階で最低のステージにいることは間違いないわけで。でも純粋な興味は本当だ。去年は禅寺である永平寺にも参拝した。

 

しかし禅に関する本をいくつか読んでみたけれど、イマイチ自分には「んー」となってしまうことも多かった。それは禅の教えにある「執着を捨てなさい」というものだ。そうすれば「心が楽になる」と。読んだ本の多くで第一声がそうだった。ただ私にはこれは「んー」なのだ。「そりゃそうだろーけど」となってしまう。やはり私にはまだ早かったのか。

 

そんな中この本に出合ったのだけれど、「こういう説き方もあるのか」と目から鱗だった。この本では「裸足で過ごしてみよう」とか「物を大事にしよう」と言った日常のアイディアから禅の教えを伝える形になる。今までの本と話す方向が逆なのだ。日常のよりプラクティカルな話で、私のような信心深くない者でも取っつきやすかった。「『質素』は安いもので暮らすことで、「『簡素』は自分の気に入ったものを大切に使いながら暮らすことだ」へぇ~。

 

他の関連本よりもビジネス本の傾向が強く、今の俗世に禅の考えを寄せすぎてしまっているなと感じるものもあった。しかし「実生活に役立てる」というのが仏教の実践的な教えに適っているのだとしたら、ここから始めてみたいという気になる1冊だった。自分が学校で一生懸命勉強してきたことって直接的には仕事に役立っていないことが多いけれど、仕事をしたときに「あの時に経験したことだ」と連鎖的に感じることも多い。私の場合は学校の勉強をそのまま伝えるのでモロだけれど、「勉強の意味や意義」を生徒に伝えるヒントになるかも知れない。例えば勉強した言葉を使ってこうして書くブログも、教えを役立てる実践だと言えるのかも知れない。