比べられることの不幸

実は結構いる。

何を見ているの

昔働いていた塾で、こんな保護者様がいた。

 

定期テストが終わり答案が返却されるたびに電話がかかってくる。「いかがいたしましたか」と聞くと、

 

「なんでうちの子はこんなに点数が低いのですか」

 

という。子供の得点に納得いかないのだ。

 

しかし、実際の所は20点近く上がっている。入塾時は50点だったものが70点を超えてきた。話を聞きつつそれを伝えると、

 

「でも『お姉ちゃん』はもっと取れていた」

 

と言う。どうやら姉妹で比較しているらしい。姉は90点くらいとれていたのに、なんで妹は「これしか」取れないの、と。姉妹であってもそれぞれが独立した個人なんだから、その比較に意味があるとは思えないのだが。そのこだわりは少し怖かった。

 

この生徒はなかなかの努力家で、自習に来るよう伝えたら毎日のように来て勉強を頑張っていた。担当していた講師もその都度一緒に勉強を見ている。その成果は確かにあった。

 

しかし親がそれを認められていないというところが悲しかった。まるで、子供本人ではなく、その向こうに何かを見ているかのようだった。結局その子は親の意向で途中退塾をした。今ではもう分からないが、その後幸せに暮らしていてほしいと思う。