ハードルを並べるお仕事

塾講師として駆け出しの時期を過ぎた頃、自分の「指導技術」みたいなものを伸ばしたいと思うようになった。

 

どうすればもっと分かりやすく教えられるのか。もっと上手くなりたい。そう思って腕を磨こうとしていった。すると不思議なことに、教えている生徒の学力はだんだん伸びなくなっていった。

 

どうやら教えすぎていたらしい。生徒が躓きそうなところを「先回りして」小石を取り除き、躓かないように、歩きやすいように舗装する作業ばかりしてしまっていた。今なら分かるけれど、生徒を「できるようにさせる」ことと、「楽をさせる」ことは全くの別物だ。

 

 

だから今は、生徒に負荷をかけることを意識している。余計な小石は取り除くけれど、その上でハードルを並べて飛んでもらうようにする。生徒の足腰を鍛えることが、本当の指導技術なんじゃないかと思うようになった。