塾の先生になった時のこと➂

説明の仕方を学ぶ

家から近いkらという理由で応募し採用された塾で塾講師生活はスタートした。

 

講師をはじめて1年目は自分でも何をしているのかよく分かっていなかった。それこそ都立入試の仕組みや各中学校の定期テストの日すら把握していなかった。塾に到着してその日の自分が担当する生徒と指導する場所が指示される。訳が分からないまま、必死に塾講師のフリをしていた。塾講師としては、受験の1年を生徒と過ごしてやっと見えてくるものがあった。

 

2年目になり少しずつ慣れてくると、生徒の指導の仕方も試行錯誤する余裕が出てきた。その塾では、塾長の手書きの「指導マニュアル」があった。(未完成のまま更新されることはなかったけれど)その後いくつかの塾を渡り歩いたけれど、指導法に関するマニュアルがあったのはここだけだった。今ならばネットなどで調べ学ぶこともできるけれど、当時はそんなものも無かったので、これと塾長から教わったあれこれは本当にありがたかった。

 

特にタメになったのは、図形の証明問題の指導法だった。証明を結論から逆に説明していくようになっており、これで証明に必要な要素を適宜書いていくことができる。これを証明問題の解説をするときにも活用したが、私はこれを「結論」から話す技術と、「なぜ」を使った説明法に転用していった。