頭をよくするには、頭を使っていくしかない

 

学力を伸ばす為の方法を知りたいのならそれは簡単です。学力の高い生徒の真似をすればいいだけです。

 

自分の目標とする生徒を決め、その子に何をやっているかを聞き、それを自分でも実践していけばいいだけだと思います。ただ、同級生に教えを請うのは本人にも相手にとってもなかなかハードルが高いようです。(なんだか気恥ずかしいとかね。)

 

だから講師に聞いてきます。講師ならば、同級生よりも素晴らしい方法を知っているに違いないと思い込みがちですが、講師であっても自分の方法論しか持っていません。よってそれを教えることになりますが、その方法が自分にとってベストとは限りません。だから同級生など、いろいろな方法を調べて自分が最も効果的と感じた方法をやっていくほうがいいと思います。現に、私が実践していた方法を生徒にやらせても、すぐに挫折してしまうことが多いです。人それぞれ良い方法があるのだと思います。(文法書を全部写経するのは確実に力が付くんだけどなー)

 

しかし、私がある生徒の勉強法を見ていて「お、これは素晴らしいぞ!」と思い、他の子に勧めた時「あの子は頭がいいから~」と言って拒否する生徒がいたのですが、この言い訳はやめたほうがいいです。

 

「あの子は頭がいいから~」というのは、「私はバカだから~」と言っているのと同じです。そしてその後に「私にその方法はできませ~ん」と付け加えたいのだと思います。勉強においてバカなのは今の状態であって、それはいずれ改善します。ですがその改善方法で他に無いかというのは間違っています。

 

おそらくデキる人の勉強法を見て、その手法が面倒臭く感じるのでしょう。「そんな面倒臭いこと私にやらせずに、もっと手っ取り早く成績上げてよ」というのが本音なのでしょうね。笑止の至りです。ふふふ。

 

今のもくせい塾には上記のような生徒はほとんどいませんが、昔の職場には結構いました。こういう生徒に抜けているのは「時間の認識」です。勉強はトレーニングなので、時間がかかります。デキる生徒だって初めからできていたわけではありません。生まれた時はみんな言葉も話せませんし、よもや因数分解なんてできるわけありません。それが成長するにつれて少しずつ少しずつ差が開いていくのが学力です。だから学力を上げたいのなら、学力の上がっている人の進んだ道をなぞるしかないのです。それには時間がかかる。それが理解できていないと、上のような「頭のいい人」と自分の間に線を引いてしまい、自分を「デキない奴」という安全圏に避難させる。そして自分だけの簡単ですぐに効果の出るスペシャルな方法を請うような発言になるのでしょう。この状況は、成績を上げる方法を聞きながら、成績を上げる気は「無い」と言っているのと同じです。だからやめたほうがいい。

 

手間と労力を惜しまずにコツコツやってきた人が、そのかけた時間の重厚な厚みを学力として見せる。その表面だけしか見ないで羨んでいても何も変えることはできません。もちろん講師は「生まれ変わってデキる人と同じ人生を歩み直せ」とは言いません。あの手この手で学力向上のショートカットをさせようとします。ですが講師がつないだショートカットの道を歩くのは生徒です。請われて授けるのは講師が効果的だと思う「ショートカット」です。それすら蹴っていては、その場から1歩も進みません。

 

「レンジでチン」の効果的学習法なんてありません。(脳に直接電極を指して情報を入力する時代がくればあるいは)今世にあふれている勉強法だって、心理学や脳科学を利用して相当ショートカットしてあります。野菜や肉を買って来て1から調理するのではなく、半分調理済みで、それこぞ野菜もショートにカット済み(←)です。でも勉強がトレーニングである以上、手間をかけた分だけ学力は伸びるわけでその手間をどうしても省くことはできません。そのトレーニングを手間暇かけて行い、より効果的な方法や時短を考え情報を集めることで本当の頭の使い方、頭の良さが身に付いていくのではないかなと思います。

 

 

ですから成績を上げたい、学力を伸ばしたいと本気で思ったら、勉強のできる人に「成績の上げ方」ではなく「何を勉強している(た)か」を聞いて、聞いたことをもとに自分で考えてみましょう。考えることが頭を良くする第一歩です。