バディ

よう相棒。

横を一緒に走ってくれるかい?


高校の体育で1500メートル走があった。

 

全学年で毎年春から行われるのだが、クラスの平均タイムが6分を切らないと次の種目に行けない。次はプールだ。初夏に入ってもタイムを切れないクラスは、他のクラスがプールで涼しそうにキャッキャして(男子校だが)いるのを横目に走り続ける。

 

この1500m走は途中から「バディ制」がとられる。タイムを切った生徒と切れない生徒が組んで一緒に走る。切った子たちが「ペース上げてー!」と応援しながら一緒にゴールする。これが新しいクラスの結束を固めるのにも一役買っていた。その後みんな仲良くなるしいいルールだと思う。ちなみに私は当時「切れないほう」のさえないテニス部で、バスケ部で関東大会に行った子と一緒に走った。タイムを切れたときに、「やったな」「ありがとう」と握手したのを覚えている。

 

中距離走はキツい。ペース配分が上手くいかず辛かった。そういう辛い体験をしたときに逃げずに立ち向かえるか。私は友人の力を借りてどうにか目標を達成できたが、一人で走っているときは「ズル」をしていた。息が上がってキツくなってきたら、トラックのギリギリ内側を走っていたのだ。それが先生にバレて「ちゃんとコース走れ!」と怒鳴られた。

 

ズルは自分のためにならない。勉強の場でもつい「ズル」をしてしまう子がいる。宿題の答えを写してくる、課題をやっていないのを「やった風」に誤魔化す、テストでカンニングをする。見ているほうは一目瞭然だ。

 

もちろん見つけた時は正々堂々としていないことに腹が立つ。当時の体育の先生のように、「ちゃんとコースを走れ!」と怒鳴ることになる。しかし、ズルしてしまうのは辛いからだというのも分かっている。私もそっちの立場だったからね。だから怒鳴った後は、私がバディにしてもらったように、その生徒に手を差し伸べて一緒に走りたいと思っている。