勉強のやり方

どんな山でも登ってみれば気持ちの良いもの。

勉強法は「登山道」を見つけるようなもの


勉強のやり方はそれこそ人それぞれで、10人いれば10通りのやり方があると思う。

 

だけど勉強でやるべきことは決まっている。例えば「月」と言う漢字を覚える場合、やることは月の「暗記」だ。だけどその方法は人それぞれ違う。とにかく書きまくって手に馴染ませようとする子もいれば、夜に三日月を見上げて、形から漢字を記憶に残す子もいるかも知れない。山頂にゴールがあって、そこに向かうルートがいろいろあるというようなイメージだ。だから方法は人それぞれでいいと思っている。

 

「勉強のやり方が分からない」

 

という話をちょくちょく聞くが、これは、「山頂までのルート」が見つけられないということなのだろう。どうすればより早く、より簡単にゴールに辿り着けるのか。それを伝えるだけなら簡単だ。私の登ったルートを言えばいいだけなのだから。

 

しかし私の登ったルートが、その子の歩きやすいものとは限らないし、そもそも同じ山を登っているわけではない。だから私のやった勉強法をそのまま生徒にやらせようとも思わない。私の通った道はきっと石ころだらけで、実際に滑落もしている。

 

そこで私は「足の動かし方」を教える。

 

「右足を前に出したら次は左足の番だよ。まずは『登ろう』って思うんだ」

 

というふうに。どの山を登るにしても、足を動かすことには変わりない。だからそれに登る為には足を動かさなくてはいけないということだけを伝えて、あとは自分でルートを見つけてもらう。その時私は足の動かし方やピッチの緩急、そして歩幅の調整などを行っていく。

 

そのうちもっと近道や歩きやすい道を見つけることもあるし、最初は歩きにくい獣道だったものが、何度か登頂するうちに自分の散歩道になることもある。山の高さは変わらないのだから。

 

そうして「趣味は山登りです」と言えるようになった子が自学力を発揮するようになっていく。まずは小さな山から登ってみるといい。