外部模試について思うこと

6月は中3だけでなく中2対象の北辰テストも実施される。受験は任意だが弊塾も思っていたより希望者がいて少し安心した。

ここ東部地区はまだ埼玉県内でも中央に次ぐ第2の高校受験激戦区なのでまだそれほど影響はないが、少子化の影響で定員割れを起こす県立高校が増えている。埼玉県は毎年1000人ずつくらい中学生が減っている。以前聞いた話だと、北部の方は"公立高校1校のみ受験"という家庭も増えてきているそうだ。定員割れだから受ければ受かる。

したがって勉強のために塾通いする生徒も、当然外部模試受験者も減っているそうな。学力上位層の受験はまだこの限りではないが、中堅未満の生徒にとって高校受験はすでにあってないようなものになりつつある。

受験とは、殺到する入学希望者を篩にかけるためにあるもの。「受験のために勉強する」というのはそもそも歪んだ考えだ。それが是正されつつあると言えば健全に聞こえるのかも知れないが、一方で「勉強しなくても高校に行ける」子供たちの学習への動機は何が支えるのだろうかと思う。学力とは生きるための力だから。

勉強は勝手にできるようにはならない

近隣の中学校の体育祭も終わり、いよいよ本格的に授業が進み出した。塾でも課題をどんどん進めている子はすでに学校の2学期の範囲をやっていたりする。

塾通いを始めたばかりの子は、塾の課題を"忘れて"くる場合が度々ある。しかしこの"忘れ"は、忘れであって、忘れではない。

もくせい塾には毎週テストがあるのでその準備をしてきてもらうが、それをやって来なかった子に対して、まずは理由を聞く。大体答えは2通りで、軽い方は「サボりました」と素直に白状するパターン。この場合は今後の挽回の方法について話して終わる。しかしよくあるもう一つのパターン、「忙しくて」の場合は少し話が長くなる。こう言ってしまう生徒は「それで許されてきた」という経験をしてしまっている。これが学力が伸びない子の原因のひとつだ。甘やかすと人は甘える。結局、それまでに関わってきた大人が手を抜いていたのが悪い。

この場合は、ここまでの1週間の予定を全て聞き出す。部活は?学校行事は?家庭の事情?ほとんどの場合、何もない。なので「他の子と同じだよね?」と言う話をする。塾に入るときに約束したよね、と。そしてやって来なかった分はどうするのか、自分で考えて宣言してもらう(と言っても翌週までにやる以外ないのだが)。学校なのか以前通ってた塾なのかわからないが、"そことは違うよ"と言うことを示す。逃げ道はない、誤魔化しは通じないことを伝える。

正直こんな話生徒に嫌われるだけなのでしたくはないのだが、誰かがやらないときっとその子はこれからもその言い訳を繰り返し救われない。現にはじめは課題をやらなかった子もすぐに毎週準備して来るようになる。"忘れました"は忘れであって忘れではない。学習に対する意識が低く約束したことを頭の隅から意識的に追い出しているだけだ。だから学習の習慣化は苦味を伴って行わなくてはならない場合もある。

学校の授業だけでは得られないもの

初めて塾通いをする生徒を見ていて感じるのは、"速度が遅い"ということだ。

問題の処理速度もそうだし、物事に取り掛かるまでの速度、次の行動に移るまでの速度、塾に来て準備するまでの速度や片付けをして退室するまでの速度も遅い。もちろん全てに当てはまるわけではないが、塾にある程度通っていて効果的な指導を受けてきた子に比べるとそこに差が出てくるように思われる。学校の指導はできるだけ落ちこぼれを作らないために"遅い子"に合わせようとするので、「急ぐ習慣」が身についていないのだろう。どんなに学力の高い子でもそうだ。

全て急いで行うのが良いと言うわけではない。それでミスが頻発してしまうならば"自分の適性速度"に一旦スピードを緩めるべきだし、そのように指導することもある。だが勉強において「スピードは武器」であることは言うまでもない。問題を10秒早く解けたらその分他の問題に考える時間を回すことができるし、塾に5分早く来ることを10回続ければ学校の授業1回分他の人よりも多く勉強できることになる。スピードは武器なのだ。

塾通いをしなくても受験はできるし学歴は積むことができる。しかし塾での勉強を主戦場にしている子とそうでない子の間には、圧倒的な"時間への価値観"の差が生まれてくる。

防犯意識

弊塾の入り口はいわゆる普通のドアタイプで、つまみを回すタイプの鍵が付いている。先日そのドアの鍵がかけられていた。

きっと生徒の誰かが自宅と勘違いして、室内に入るなり癖で鍵をかけたのだろう。家庭でも帰宅するなりそのように鍵を閉めるよう躾を徹底されているのかも知れない。昔と違い今では鍵を開けっぱなしで出かけるなどできない世の中だし、どんな危険があるかも分からない。素晴らしい防犯意識だなと思った。

また、塾を自宅のような感覚で通ってくれているのだと感じ嬉しくも思った。そのようにくつろぎながら学習に取り組めるスペースでありたいと思っている。

しかし塾のドアの鍵を閉めるのはご遠慮いただきたい。次の子が入れずに困っていた。

5月

ゴールデンウィークが明けた。ここから学校もいよいよ本格始動だと思う。

 

塾のほうでもテキストの配布が終わり、生徒によってはこれから指導が予習型に切り替わっていく。

この間も中3生の第1回北辰テストが実施されたり、徐々に受験生は勉強に力を入れていく。まだ受験生の自覚の無い生徒も多いが、個人的にはいち早く抜け出すのは誰になるだろうかという毎年の楽しみもある。

 

今年は4年に1度の教科書改訂の年で、教室でも全ての教科書を新しいものと交換した。やることは多くなるが、ここはいっちょ気合を入れてやっていくかという気持ちでいる。ゴールデンウィークの休息は思いのほか活力を取り戻すことになったようだ。

 

近隣の中学校では1学期の中間テストが廃止になる傾向がある。この時期にたいして学習も進んでおらず、前学年の内容を出題することが多かったので効果測定という意味はそもそもあまりなかった。しかし生徒に学習の軛をかけるという一定の効果はあったと思う。今後は勉強を「やる子」と「やらない子」の差はますます大きくなっていくのだろう。