もくせい塾が今の形になったワケ

生徒に冗談で言っていたことがある。

 

「私の理想の塾は、自分が死んで立てたお墓の周りに生徒が集まって、勝手に勉強して成績が上がることだ」

 

これは別に、「ラクをしたい」ということではない。

 

昔、自分の説明技術を磨けば磨くほど生徒の成績が伸びなくなったことがある。塾講師を始めたばかりの頃のほうが生徒は伸びていた。じゃあ何がいけなかったのかを考えた時、「自分が先回りして教えてしまっている」ことに気付いた。生徒がつまづきそうになったらすぐに助け船を出す。生徒が分からなそうなところはあらかじめ説明してしまう。そうした舗装された道路を歩くばかりでは成績は上がらない。

 

勉強は、教わっただけでできるようになるものではない。その後に自分でやってみて、身に付けてはじめてできるようになる。だから、講師の説明は必要最小限にし、生徒が自分で試行錯誤する環境を用意する。生徒をラクさせてはいけない。そう思って自学力を育てる塾という考えに辿り着いた。